東京オペラシティ アートギャラリー で開催した「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」を観賞してきました。
キャリア70年の超巨匠の大回顧展は、全イラストレーター必見の圧巻のスケールでした。
『あぁ、宇野亞喜良さんみたいになりたい』と思った人は私だけではないはず、エロス、お洒落、かわいい・・・『あー描きたい!』って思わされる展示でした。
個人的に「モデリングペーストとの再会」に感動。
宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
展示概要
日本を代表するイラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍を続ける宇野亞喜良(うの・あきら1934-)。1960年代の日本において「イラストレーション」「イラストレーター」という言葉を広め、時代を牽引してきたレジェンドでありながら、常に進化し続けています。その創作は、イラストレーション、ポスター、絵本、書籍、アニメーション映画、絵画、舞台美術など多岐におよび、1950年代初めのデビュー以来、活動の範囲は限りなく広がっています。
本展は、宇野の初期から最新作までの全仕事を網羅する、過去最大規模の展覧会です。1950年代の企業広告をはじめ、1960年代のアングラ演劇ポスターや絵本や児童書、近年の俳句と少女をテーマとした絵画など、多彩で貴重な原画や資料等を紹介します。
「魅惑のサウスポー」から生み出される、時代を超越した宇野の華麗で耽美な創作世界に迫ります。
https://www.operacity.jp/ag/exh273/j/introduction.php
膨大な資料、原画、作品、1周だけでは収まらずもう一度じっくりまわりました。
当日は朝一番の観賞者が多かったのですが、お昼くらいには一旦落ち着いて歩けました。
そして70年のキャリア、とにかく略年譜が長い、流石です。
グラフィックデザイン・ポスター
改めて数多くの企業広告に携わったことがわかります。完成された広告の隣に原画が展示されている、なんと贅沢なことか。原画から力をもらえます。
今もなお膨大な数のポスターを手掛けています。豊富な印刷知識と描写力、独特のファンタジーやエレガンス、エロティシズムが漂う宇野亞喜良さんらしい世界観を感じられるポスターの数々。。。
今も新作を、この現代で宇野亞喜良さんの作品を生で体験できることが嬉しいです。
絵本・児童書
70冊余りの絵本や児童書にも携わっています。『どうぶつ えとおはなし』(1957年頃)や『青い鳥』(1957年頃)、『海の小娘』(1962年)、『あのこ』(1966年)など、動物から少女まで、物語によって自由に表現を変え、バリエーション豊かな絵本や児童書を生み出しています。
エロティシズムは抑えていますが、独特の表情や目線は宇野亞喜良ワールド全開です。
よく見たらコラージュ技法もあったりと、展示会ならではの発見があります。
舞台芸術
グラフィックデザインだけでなく、舞台衣装、メイク、演劇全体の総合的なプロデュースも行っていました。特に1990年代以降は、集中的に演劇舞台に携わっています。
宇野亞喜良さんが手がける舞台美術は、宇野亞喜良ワールドがそのまま空間にあらわれるかのような魅力です。
それにしても、とにかく衣装原画が格好良くてこのまま絵本にできそうです。
モデリングペーストとの再会
過去に『宇野亜喜良創作の現場: Illustrator’s workshop』を読んだことがあります。その中で宇野亞喜良さん独自の「下地づくり」に掲載がありました。
キャンバスにモデリングペーストを厚塗りし、「メタリックさびカラー」を塗布。最後に仕上げでサンドペーパーで磨く。そうすると独特の風化を表現できる。
この工程を読んだときに、巨匠の飽くなき表現への追求に感銘したことを覚えています。そして本展でそれを確認できたことに感動しました。
職業、イラストレーター
これだけファンタジーやエロティシズムが漂う世界観なのに、インタビューでご本人は『日常を描いていきたい』と仰っていました。
『その時代の現代を描きたい、いつも時代的でありたい』
宇野亞喜良
意識や計算ではなく自然に、流行りとかではなく『前衛でなく日常を描いていきたい、日常で見かける格好良い女性』をとのこと。この感性が現役でい続けられる秘訣なのかもしれません。
『今でありたい、過去を批判するわけでなく、なんとなく自分の時代感覚』
宇野亞喜良
時代の流行りに合わせるのではなく、今生きる人たちから受ける自分の感覚を大切にされているのだと思いました。
またメディアの仕事は「編集者の感覚思想をどうビジュアライズするかが仕事」と仰ってました。アートをやるのではなく、その中にコンセプトがあり、その思想を表現することに肝を置いていたようです。
インタビュー中、和田誠さんの話が出てきたことも嬉しかったな。
図録とチケット
展示会図録
普段、図録は買いません。けど今回は行く前から買うと決めていました、ずっと欲しかった宇野亞喜良さんの作品集、ついにです。そして今回の展示図録が格好良いのです。渋いゴールド調に「マックスファクター(Renaissance Collection)」のポスターのビジュアルが使われています。
チケット
チケットは寺山修司作の「人形の家 第1回公演『人魚姫』ポスター」が使われています。
もう何もかもが好きです。
展覧会情報
展覧会名
宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
開催期間
2024年4月11日[木]- 6月16日[日]
開館時間
11:00 ─ 19:00(入場は18:30まで)
休館日
月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
会場
東京オペラシティ アートギャラリー
Webサイト
https://www.operacity.jp/ag/exh273/
宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO(reprise)
ずっと宇野亞喜良さんのようなイラストレーターを目指していました、今も。その「宇野亞喜良さんのような」に惑わされていたようにも思えます。展示会場を歩いていた時、ふと「あーなんか間違えてたな」と頭の中で思いました。何か奇を衒ったようなことや、表層的な部分ばかりに目を奪われていました。そのことに気づいて自己修正する時もあるのですが、また元に戻る。宇野亞喜良さんの“仕事”を見ているとそうではないんだなと気付かされます。
最後にNHKで放送された「日曜美術館 SP ハッピーニューアーツ!」で描いた素描を。この時は役者の「のん」さんの対談で、アトリエにあった枯れ葉から着想を得て描いたのを覚えてます。
まさに『日常で見かける格好良い女性』ですね。
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