安井仲治展:日本写真の金字塔を辿る20年ぶりの回顧展

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日本写真史において傑出した存在として知られる安井仲治(やすいなかじ/1903-1942)の20年ぶりとなる回顧展「生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真」が東京ステーションギャラリーで開催されました。今回はこの回顧展で感じたことをレポートしたいと思います。

目次

近代写真の金字塔 写真家「安井仲治」

生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真

日本写真史において傑出した存在として知られる安井仲治の20年ぶりとなる回顧展。大正・昭和戦前期の日本の写真は、アマチュア写真家たちの旺盛な探求によって豊かな芸術表現として成熟していきました。この時期を牽引した写真家の代表格が本展の主役である安井仲治です。

安井は38歳で亡くなる約20年という短い写歴の間に、驚くほど多彩な仕事を発表しました。その作品は同時代の写真家をはじめ、土門拳や森山大道など後世に活躍した写真家たちからも掛け値なしの称賛を得ています。

本展は200点以上の出展作品を通じて安井仲治の全貌を回顧したものです。戦災を免れたヴィンテージプリント約140点、ネガやコンタクトプリントの調査に基づいて制作されたモダンプリント約60点のほか、さまざまな資料を展示しています。安井の活動を実証的に追跡し、写真の可能性を切り拓いた偉大な作家の仕事を現代によみがえらせます。

「良い写真」ってなんだろう?

展示作品を眺めていると、「良い写真」ってなんだろう?と思うようになりました。「あっ、良い写真!」と思った作品は必ずしも綺麗に撮れた写真ではありません。

例えば大阪中之島のメーデーを撮った連作では大胆なトリミングやコラージュを駆使して躍動する現場の諸相を撮影していますが、その中でも《旗》という作品はブレの効果を利用して臨場感を伝えています。こうした写真は、私たちの目に留まると同時に、新たなアプローチや視点を生み出し、私たちの想像力を刺激します。

絵画的なアプローチでソフトフォーカスした作品や、多重露光やフォトモンタージュの手法を使った幻想的な作品もあります。記録としての写真ではなく芸術性のある作品に目が惹かれました。

また、働く人の背中に映った建物の「影」が主役になった作品など、瞬間瞬間を切り取った写真に心が動きました。これらの作品は、日常の中に潜む美しさや奥深さを私たちに気づかせ、新しい視点を提供してくれます。

1930年代に撮影された《街頭》という作品は、『神は愛なり』と大きく書かれた看板の下に写った人の姿が妙に俗っぽく写り、そのコントラストが「面白い」と感じました。また、写真の構図が斜めであったからこそ、ちょっとした不安定さの演出が効いている気がしました。

人間らしい顔

安井仲治が朝鮮集落に訪れたとき、「ほんとうの人間らしい顔を見た」と話していました。この言葉を読んだ時に、雑誌のモデルのように顔を作ったり、歯を出した顔が、まるで一つのテンプレートのように思えました。現代では写真を気軽に撮れるため、撮られる方も標準化されていくことでファインダーから人間らしさが失われつつあるのかもしれません。その中で、被写体の個性を引き出せるフォトグラファーの腕はやっぱりすごいなと思いました。

最近、二眼レフカメラで撮影を始めました。本展は写真を撮り始めてから初めての展示会でした。自分で写真を撮るようになったせいか、展示作品からビシビシ刺激を受けました。上手く言語化できませんが、「上手いなぁ」ってため息が出る作品ばかりです。そして安井のローライフレックスの二眼レフやライカのカメラが展示されており、どんどんカメラの沼にハマりそうです。

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展覧会情報

展覧会名
生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真

開催期間
2024年2月23日(金・祝) – 4月14日(日)

開館時間
10:00 – 18:00
金曜日 10:00 – 20:00
※入館はいずれも閉館30分前まで

休館日
月曜日[4/8は開館]

会場
東京ステーションギャラリー

Webサイト
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202402_yasui.html

安井仲治
《サーカスの女》

入場特典なのでしょうか?チケットを渡した時にいただきました。カウンターを見るとランダムに複数枚の作品があったので来場した際のお楽しみですね。

Tomorebi

Tomorebiは、Tomo + Komorebi(木漏れ日)から生まれた言葉です。
「光が当たる場所とそこに映る影を描く」ことをテーマに日々の暮らしに寄り添う作品を描いています。
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