吉田多麻希写真展『Brave New World』:自然との新たな対話

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今回は東條會舘写真研究所で開催されている吉田多麻希さんによる写真展「Brave New World」の展示を鑑賞してきました。その感動をご紹介したいと思います。
※本記事では吉田さんの苗字が常用漢字ではなくシステム上エラーとなったため「吉田」と表記しています

目次

Brave New World

吉田多麻希さんは、神戸市生まれで現在は東京を拠点に活動しています。彼女は幼少期から生き物好きで、日々変化する世界や忘れ去られる自然や生き物の姿に興味を持ちました。特に彼女の作品「Sympathetic Resonance」は、サーモグラフィーカメラを使用して身近な生物や自然のエネルギーを可視化させたもので、2019年には「キヤノン写真新世紀」で優秀賞を受賞し、2021年には「KG+ SELECT」でグランプリを獲得しました。また、2022年にはKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭に参加し、その展示が第47回木村伊兵衛写真賞にノミネートされたそうです。

そして、東條會舘が主催するはじめての展覧会として、「Brave New World」が開催されました。吉田さんはフィルム現像の失敗を元に、洗剤や歯磨き粉などの薬品を混ぜながら野生の動物を被写体にして、人と自然・生物の関係を独自の視点で探求しています。展示では、東條會舘写真研究所の暗室と、銀塩写真の制作に必要な水を調整していた地下室の2つの空間で、儚くも勇ましい獣たちがその姿を露にし語りかけてきます。

自然破壊の影響

展示の中で、生活排水の水質汚濁による自然破壊の影響が強調されていました。私たちは日常的に洗剤、化粧品、歯磨き粉などの化学薬品を使用し、その排出が環境に与える影響を意識せずにいます。吉田さんはこの現実を鋭く捉え、写真作品に映し出しました。その結果、洗剤と化粧品が混ざったネガフィルムから生まれる写真は、崩れつつも鮮やかに発色し、生き物の姿がより鮮明に浮かび上がっていました。

リスペクトを込めたアートワーク

吉田さんの作品には皮肉を込めながらも自然界へのリスペクトが感じられました。彼女は自然を破壊しながらも、その行為に対する皮肉を込めたアートワークを制作し、私たちに環境への意識を促しました。彼女の作品は、私たちが生活する世界と自然の共存を問いかけ、考えさせられるものでした。

儚くとも勇ましい獣たち

展示会は3つのセクションに分かれています。「理想を求める空間」や「排水まみれ」、「Brave New World」のセクションは、独自の視点から自然と人間の関係を考えさせられるものでした。展示の中で、人間が環境に与える影響と、野生生物が生き抜く強さが対比され、深い考察を呼び起こしました。

「理想を求める空間」

展示の一部である暗室は、写真家が理想的な写真を作り出そうとする場所として描かれています。しかし、その裏で化学薬品を排出する行為が環境への影響を持っていることが示唆されています。このジレンマについて考えさせられました。

「排水まみれ」

排水と現像によって破壊されるネガをテーマにしたプロジェクションの空間は、映像と音が入り乱れ、環境破壊のリアルな側面を表現しています。洗剤や薬品の混ざった水が生き物の世界をどのように侵食しているか、その恐ろしい一面を垣間見ることができました。

「Brave New World」

展示の最後の空間である「Brave New World」は、人工的な空間の中に野生の生き物が生き生きと過ごす様子を表現しています。ここは野生生物にとってのユートピアであり、彼らが力強く生きる場所です。この空間からの分岐点では、私たち人間が進むべき道を考えさせられました。

人と自然・生物の関係

「Brave New World」展示会は、環境問題や自然保護についての重要なメッセージを伝える優れたアート作品であると感じました。自然界へのリスペクトを再評価させ素晴らしい空間でした。吉田多麻希さんの独自の視点とメッセージに触れ、私たちの日常行動が自然界に与える影響について深く考えさせられました。ぜひ、この素晴らしい展示をご覧いただき、自然との共存についての新たな視点を見つけることができることを願っています。

展覧会情報

展覧会名
Brave New World 吉田多麻希|YOSHIDA Tamaki

開催期間
2023年9月2日(土)~10月9日(月)

開館時間
13:00~19:00 
※入場無料
※ 水・木・金曜日は予約制

休館日
月・火

会場
東條會舘写真研究所

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