東京都美術館「スウェーデン絵画展」とは|北欧の光と日常のかがやき
東京都美術館で開催されている「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」を訪れました。
本展は、19世紀末から20世紀初頭にかけての“スウェーデン美術黄金期”に焦点を当てた、日本初の本格的なスウェーデン絵画展。スウェーデン国立美術館の全面協力のもと、約80点の作品が紹介されています。
1880年頃、若い芸術家たちはフランスでレアリスムを学び、人間や自然をありのままに描くことを追求しました。しかしやがて彼らは帰国し、自国のアイデンティティを模索します。
その中で生まれたのが、自然や身近な人々、日常にひそむ輝きを、親密で情緒豊かに描く独自の表現でした。
展示作品はすべてスウェーデン人作家によるもの。
「自然」「光」「日常のかがやき」というキーワードのもと、厳しくも豊かな北欧の風土と、その中で営まれる暮らしが描かれています。
なお、一部作品は写真撮影が可能でした。
会場に足を踏み入れた瞬間、まず感じたのは“光の質”の違いでした。
青く沈む夏の夜、雪に覆われた川辺の夕暮れ、そして灯りのともる食卓。
厳しくもやさしい北欧の自然と暮らしが、絵の中で静かに呼吸していました。
灯りのある食卓─カール・ラーション《カードゲームの支度》

カール・ラーション
カール・ラーション《カードゲームの支度》。
室内には柔らかな灯りがともり、食卓には家族の気配がある。
特別な出来事ではない、ただの夜のひととき。
それなのに、どうしてこんなにも憧れてしまうのだろう。
赤い戸棚、整えられた食器、静かな家族の距離感。
そこには“理想化された日常”があるようにも見えますが、不思議と押しつけがましさがありません。
この作品の前で、どこか懐かしさを感じていました。
自分が経験したわけでもない風景なのに、胸の奥にそっと灯りがともる。
日常は、こうも美しく切り取れるのか。
そう思わされた一枚でした。
青い夜と、神聖な大地

ニルス・クルーゲル
ニルス・クルーゲル《夜の訪れ》。
青に包まれた大地に立つ馬。
空と地面のあいだに漂う、あの幻想的な光。
怖さと静けさが同時にある。
近づきがたいのに、目を離せない。
一方で、ゴットフリード・カルステーニウス《群島の日没》は、圧倒的な自然の存在感を突きつけてきます。
燃えるような赤い岩肌と、その下に広がる水面の静寂。

ゴットフリード・カルステーニウス
人間の営みは、ほとんど描かれていない。
それでもそこには確かに“生”がある。
私はこの二作の前で、言葉よりも先に身体が反応していました。
呼吸が浅くなり、視界が狭まり、ただ立ち尽くす。
神聖さとは、こういう感覚のことかもしれない。
自然は優しいだけではなく、厳しい。
だからこそ、美しい。
雪の川面に映る静けさ──フィエースタードの冬

グスタヴ・フィエースタード
グスタヴ・フィエースタード《川辺の冬の夕暮れ》。
雪に覆われた岸辺。
その下に広がる、冷たい水面。
夕暮れの光が、波紋のひとつひとつに細かく反射している。
その描写の緻密さに、思わず息をのむ。
冷たいはずなのに、どこかやわらかい。
静まり返った空気が、画面からこちらへ流れ込んでくるようでした。
ここではドラマは起きない。
ただ、あるがままの自然があるだけ。
それなのに、心が整っていく。
私はこの作品の前で、呼吸がゆっくりになるのを感じました。
光は、声を張り上げなくてもいいのだと教えられた気がします。
出会った作品たち
今回の展示では、多くの作品と出会いました。

アンデシュ・ソーン

アンデシュ・ソーン
アンデシュ・ソーン《故郷の調べ》では、民族衣装をまとった人物の姿に、土地の記憶が宿っていました。
音は聞こえないのに、確かに旋律を感じる。

ブリューノ・リリエフォッシュ
ブリューノ・リリエフォッシュ《ダイシャクシギ》《カケス》。
朽ちた枝や枯草の中に佇む鳥たち。
華やかではない、けれど確かな存在感。自然と同化する静かな生命。

アウグスト・ストリンドバリ
アウグスト・ストリンドバリ《ワンダーランド》は、光の塊のような筆致が印象的でした。
具象と抽象のあいだを揺らぐような、不安定な美しさ。

エウシェーン王子
エウシェーン王子《静かな湖面》。
ほとんど音のない世界。
水面の平穏さが、そのまま心の奥に重なります。
どの作品にも共通していたのは、
大きな主張ではなく、静かなまなざしでした。
日常は、切り取れるだろうか
展覧会を出たあと、考えていました。
自分の暮らしも、このように描けるだろうか、と。

オット・ヘッセルボム
特別な景色ではなく、
何気ない夕方や、食卓の灯りや、窓から差す光、日常の営み。

アンデシュ・ソーン
神聖さは、遠い北欧の大自然の中にだけあるのではない。
もしかすると、それはすぐそばにあるのかもしれない。
ただ、私たちが気づいていないだけで。
今回の「スウェーデン絵画展」は、
北欧の光を通して、日常の見え方を少し変えてくれる展覧会でした。

グスタヴ・アンカルクローナ
必要なときに、またあの静けさに触れに行きたいと思います。
展覧会情報(東京会場)
展覧会名
東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき
開催期間
2026年1月27日(火)―4月12日(日)
開館時間
9:30―17:30
金曜日は20:00まで
入室は閉室の30分前まで
休館日
月曜日、2月24日(火)
ただし2月23日(月・祝)は開室
会場
東京都美術館
Webサイト
https://swedishpainting2026.jp/

皆川明氏によるダーラナホース──デザインと記憶
会場外には、デザイナー・皆川明氏(ミナ ペルホネン)による絵付けが施されたダーラナホースが展示されていました。

ダーラナホースは、スウェーデンの伝統工芸品。
幸せを運ぶ馬として親しまれてきた存在です。
白地に黒の模様が描かれたその姿は、素朴でありながら凛としていました。
装飾的でありながら、どこか静か。
皆川氏は「デザインがいかに日常生活の幸福度を高めるか」を追求し続けています。
その思想は、本展で紹介されているスウェーデンの画家たちとも深く重なっているように感じました。
厳しい自然の中で生きる人々が、
灯りや布や器や工芸品に温かさを託してきたこと。
それは絵画でも、デザインでも、同じなのかもしれません。
北欧の光は、単なる風景ではなく、
暮らしを支える「意志」でもある。
展示を見終えたあと、この小さな馬たちが、
その象徴のように思えました。
分かったつもりで、止まっていませんか。

ちゃんと考えてきた。
自分なりに理解もしてきた。
それでも、何かを決めきれないまま、時間だけが過ぎている気がするなら。
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