アート×生きる – レオ・レオーニ展が教えてくれた表現の本質と人生の輝き

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この展覧会への訪問には特別な心の動きがありました。

レオ・レオーニの絵本の数多くの日本語版を手がけ、その魅力を日本の子どもたちに伝えてきた詩人、谷川俊太郎さんの訃報を前日に知ったことです。谷川さんはレオ・レオーニの作品を単なる翻訳以上に日本語の詩情豊かな言葉で見事に再解釈してきました。この展覧会は谷川俊太郎さんへの追悼の意味も込めて訪れた特別な機会となりました。

スイミー

板橋区立美術館で開催中の「レオ・レオーニと仲間たち」展。この展覧会は絵本作家としての側面だけでなく、彼の多面的な芸術世界を丁寧に紐解く驚きに満ちた展示でした。

目次

アーティストの軌跡

展覧会の第1〜3章では、レオ・レオーニのデザイナー、アートディレクター時代の功績が克明に展示されていました。絵本のイメージが強かった私にとって、油彩による絵画やフォトコラージュの実績は新鮮な発見でした。これらの経験が、後の絵本制作におけるコラージュ技法に大きな影響を与えたことを実感しました。

物語の奥深さ

フレデリック

レオ・レオーニの絵本の最大の魅力はその物語の重層性にあります。人間ではなく、小さな生き物を主人公に選ぶことで、子供たちの感情移入を促します。『スイミー』や『フレデリック』に代表される作品には単なる子供向けの物語以上の深い意味が込められています。

困難に直面する主人公たちは、独自のアイデアや仲間との協力によって問題を乗り越えていきます。表面上は優しい物語の中に、倫理的・政治的なメッセージが巧みに織り込まれているのです。それでいて読み手それぞれが自由に解釈できる余白も残されている。この奥深さこそ、レオ・レオーニ作品の真骨頂と言えるでしょう。

驚くべき表現技法

レオ・レオーニの芸術的才能はその驚くべき技法の多様性に表れています。コラージュ作品では多種多様な紙を使用し、ハサミで切り、手でちぎり、大胆に紙を破くなど、その表現は常に斬新でした。

水彩、油彩、クレヨン、鉛筆、色鉛筆──あらゆる画材を自在に操り、さらに同じ画材でも多様な使い方を追求しました。スタンプやモノタイプといった版画的技法の導入も、彼の飽くなき表現への探求心を物語っています。

最晩年の作品が語るもの

展示の中で最も印象的だったのは、最晩年の「鳥」シリーズです。1996年、パーキンソン病に苦しみながらも、震える線をむしろ表現の一部として昇華させた作品群は芸術家の不屈の精神を感じさせました。

1994年に出版した最後の絵本『びっくりたまご』は、病気によって筆圧をかけにくくなった彼が、描きやすいクレヨンを選んだ力作。たとえ身体の自由を失っても表現することを決してあきらめなかったレオ・レオーニの情熱に深い感動を覚えました。

「黒いテーブル」シリーズは、レオの人生そのものを視覚化した作品。9歳の誕生日に叔父からもらった黒いテーブルは、彼の想像力の源泉となりました。「黒い色の上ではどんなものでも映える」という叔父の言葉は、レオの創造性を象徴するかのようです。

結びに

平日にもかかわらず多くの大人が絵本を熱心に読む姿が印象的でした。年齢を超えて人々の心に響く、レオ・レオーニ作品の普遍的な魅力を肌で感じることができました。

この展覧会はアートが単なる作品ではなく、作家の人生そのものであることを教えてくれました。幼少期の記憶、旺盛な好奇心、仕事で培ったデザイン性──これらすべてが、レオ・レオーニという一人のクリエイターの確固たるオリジナリティを形作っているのです。

板橋区立美術館「レオ・レオーニと仲間たち」展、心から推薦いたします。

展覧会情報

展覧会名
レオ・レオーニと仲間たち
Leo Lionni and his Circle of Friends

開催期間
2024年11月9日(土曜日)〜2025年1月13日(月曜日・祝日)

開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日
月曜日、12月29日~1月3日
(但し、1月13日(月曜日・祝日)は開館)

会場
板橋区立美術館

展示会公式サイト
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4001836/4001852.html

レオ・レオーニと仲間たち
Leo Lionni and his Circle of Friends

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