ブロッコリーを茹でる瞬間が好きだ。
沸騰した鍋に入れた瞬間、ブロッコリーが鮮やかな緑色に変わるのがたまらない。
私はブロッコリーの茎も食べられることを知ったのは家を出てからだ。
帰省した時にその話をすると「私は適当だから」と母は言った。
実家のブロッコリーはゆるい、茹ですぎだ。
私は硬めが好きだからそんなに長く茹でたりはしない。
こんなところでふと違いを感じる。
実家を出るとはこういうことなのかもしれない。
親子とはいえ別の人間なのだ。
何だか自分のアイデンティティを知った気がする。
もう一口、ブロッコリーを食べる。
久しぶりに会った母に寂しさを感じた。
メリークリスマス。
北欧ではクリスマスは家族と過ごすのが一般的らしい。
ブロッコリーを見るたびに巨大な樹を手にしてた感覚になる。
クリスマスツリーに例えるには無理があるが家族が揃うのはあと何回あるのだろう。
ブロッコリーを茹でるたびに家族と母を思い出す。