内藤礼『生まれておいで 生きておいで』展|東京国立博物館で辿る巡礼の旅

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東京国立博物館で開催中の「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」展。この展示は、心の奥底に響く感覚の巡礼の旅でした。静かで澄んだ光が差し込む展示室に足を踏み入れた瞬間、日常の喧騒が遠のき、時間が止まったかのような感覚に包まれました。

目次

内藤礼の世界観に触れて

内藤礼 生まれておいで 生きておいで

内藤礼の作品は、私たちの日常に存在する自然の要素に目を向けさせます。太陽が形づくる光と影、地が生成する水や石、大気が織りなす風や雨。彼女の作品は、これら自然の諸要素を通じて、「生」と「死」の境界を探る試みです。展示室では、自然光に照らされた土製品が、かつて太陽と共にあった時代の「生」と「死」を浮かび上がらせました。

「生の行き来」を感じる展示

内藤礼 生まれておいで 生きておいで

各展示室には「座」が設けられ、座ってじっくりと展示を鑑賞できます。下から見上げるインスタレーションは、知覚が浮かんでいるようで、感覚の旅に引き込まれました。時間と空間を超越するこの展示は、現代を生きる私たちに、遥か遠い時代から続く創造の営みを感じさせます。

展覧会の概要

太陽が形づくる光と影、地が生成する水や石、大気が織りなす風や雨。美術家・内藤礼は、私たちの傍らにある自然の諸要素と日常のささやかな事物を受け止めることで、私たちが日々見過ごしがちな世界の片隅に宿る情景、知覚しがたい密やかな現象を見つめ、「根源的な生の光景」を出現させてきました。精緻に構想されるその作品世界は、普遍的な視座を持ちながら、その場を訪れる人をそれぞれの沈潜にいざないます。

本展は、150年の歴史を持つ東京国立博物館の収蔵品、その建築空間と内藤との出会いから始まりました。1万年という時を超え、内藤は縄文時代の土製品に自らの創造と重なる人間のこころを見出しました。それは、自然・命への畏れと祈りから生まれたものであり、作家はそこに「生の内と外を貫く慈悲」を感じたといいます。生の求めに迫られてつくりだされた一つ一つの土製品は、人間本来の姿を私たちに伝えるようです。会期中、自然光に照らし出される展示室では、かつて太陽とともにあった生と死を、人と動植物、人と自然のあわいに起こる親密な協和を、そっと浮かび上がらせます。

色彩に生を、風景に物語を、光に祈りを見出す内藤の作品は、縷々として尽きることなく私たちの世界を満たしてきた、遥か遠い時代から続く創造の営みを想起させます。そこには、人間が繰り返してきた「つくる」ということ、今につながる「生きる」ということへの希求が垣間見られます。

時空を超えた交感がなされる会場は、空間よりも広く、時間よりも深く、目には見えない存在、耳では聞こえない声の確かさを感じ取る契機となることでしょう。本展の体験を通して、原始この地上で生きた人々と、現代を生きる私たちに通ずる精神世界、創造の力を感じていただけたら幸いです。

東京国立博物館公式サイト

巡礼の旅を通して

内藤礼の展示は、まさに「生の行き来」を辿る巡礼の旅でした。展示室に設けられた「座」で静かに鑑賞する時間は、深い瞑想のひとときでした。自然光が織りなす光景の中で、見えないもの、聞こえないものに耳を澄ませることで、感覚が研ぎ澄まされていきました。

東京国立博物館で開催されているこの展示は、私たちに「生」と「死」の境界を感じさせ、現代を生きる私たちに深い気づきを与えてくれます。ぜひ、この感動の旅を体験してみてください。日常の中にある「生の光景」に触れることができるはずです。

展覧会情報

展覧会名
内藤礼 生まれておいで 生きておいで

開催期間
2024年6月25日(火)~9月23日(月・休)

開館時間
9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで)

休館日
月曜日、7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火)
※ただし、7月15日(月)、8月12日(月・休)、9月16日(月)、9月23日(月)は開館。また、8月13日(火)は総合文化展は開館。

会場
東京国立博物館 平成館企画展示室、本館特別5室、本館1階ラウンジ

Webサイト
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2637

銀座メゾンエルメス

本展はエルメス財団と共同で企画されました。9月7日より銀座メゾンエルメス フォーラムにおいて開催される同名展覧会(〜25年1月13日)の空間でも同シリーズが展示され、東博から銀座メゾンエルメス フォーラムへつながり、再び東博へと戻るというこれまでにない構成となっています。

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Tomorebi

Tomorebiは、Tomo + Komorebi(木漏れ日)から生まれた言葉です。
「光が当たる場所とそこに映る影を描く」ことをテーマに日々の暮らしに寄り添う作品を描いています。
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