画家が描きたかった、ブルターニュの風景

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このブログは、ブルターニュ地方をテーマにした国立西洋美術館の展示会「憧憬の地 ブルターニュ」について紹介しています。約160点の作品が一堂に展示され、ポール・ゴーガン、クロード・モネ、リュシアン・シモン、シャルル・コッチ、黒田清輝、久米桂一郎、藤田嗣治など錚々たる芸術家の作品が展示されています。ここでは、画家たちがブルターニュ地方で描きたかったものについて紹介しています。

目次

憧憬の地 ブルターニュ

憧憬の地 ブルターニュ

「やっぱり国立西洋美術館は強いな」という印象を受けました。前回の「ピカソとその時代」展の時も素晴らしい作品が揃っていましたが、今回もとても良い作品ばかりです。
そして10月には何とキュビズム展(ポンピドゥセンター)があるので今年の西洋美術館は目が離せません。

そして、「あぁ、この波を、この岩を、この光を描きたかったんだなぁ」と、画家の気持ちになって鑑賞できました。

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特に今回は、ポール・ゴーガンの作品がとても素晴らしかったです。本展示では、ゴーガンの作品12点が集結しており、どれも本当に素晴らしいものでした。個人的には、近年来日した展示会の中でもダントツに印象に残りました。また、リュシアン・シモンの作品も絵本を見ているような素敵な世界観で、ぜひ鑑賞していただきたい展示会となっています。

本展示のコンセプト

本展示は、ブルターニュ地方をテーマに国内外の美術館から集められた約160点の作品が一堂に展示されています。19世紀末から20世紀初頭にかけて、西洋絵画の主題として定着したブルターニュ地方は、多様な表現の受け皿となっており、「ピクチャレスク・ツアー(絵になる風景を地方に探す旅)」が起きたこともあり、多くの画家たちが集まり自然と向き合う中で、さまざまな作品が制作されました。

本展示には、ポール・ゴーガンやクロード・モネ、リュシアン・シモンやシャルル・コッチをはじめ、黒田清輝や久米桂一郎、藤田嗣治など錚々たる芸術家の作品が一堂に展示されています。一部の作品は撮影可能ですが、生で鑑賞する原画は非常に魅力的ですので、会場に足を運ぶことを強くおすすめします。

画家が描きたかったもの

ブルターニュ地方の自然、風土、人々、信仰について、画家がどのように感じたかについて探求したいと思います。撮影が許可された作品から、その内容を紐解いていきます。

自然:クロード・モネ

本展示はウィリアム・ターナーの《ナント》から始まりました。海沿いの町の風景を水彩で描いた作品です。ブルターニュ地方は海や断崖絶壁も特徴の一つです。

その中でクロード・モネの2つの作品が並んでいました。どちらもブルターニュ地方の海を描いていますが、一方は嵐の中、もう一方はエメラルドグリーンの海と洞窟を描いています。特に《ポール=ドモワの洞窟》は、以降の描き続けた睡蓮の連作を彷彿させる水面の美しさが印象的でした。モネはきっとこのスケールの大きい海と絶壁に心を打たれたのでしょう。

撮影はできませんでしたが、オディロン・ルドンの《薔薇色の岩》と《風景》もとても素晴らしかったです。まるで肖像画のように描いた岩と、黄色の原風景に心を打たれました。

人と物語:ポール・ゴーガン

本展示の目玉の一つはポール・ゴーガンの作品です。12点の作品が展示されており、どれも本当に素晴らしかったです。特に原画で見ることをおすすめします。ゴーガンが描いたブルターニュの人々や怪訝そうに見ている少女は、画家の内面を映し出しているように感じます。また、《画家スレヴィンスキーの肖像》や《木靴職人》も、人物とシチュエーションを融合したストーリー性を感じました。

また、ナビ派のポール・セリュジェの《急流のそばの幻影、または妖精たちのランデヴー》は大作で神秘的な世界観を描いていました。

土地と風俗:リュシアン・シモン

ブルターニュは避暑地としても知られ、画家たちがそのまま土地に根を下ろした場所でもあります。この土地ならではの催し物や祭りを描いた作品もあります。

リュシアン・シモンが描いた作品は、まるで絵本の世界に入り込んだかのような可愛らしく美しい世界観でした。《庭の集い》や撮影できなかった《婚礼》には、人物と背景の構図がとても心地よいリズムを生んでおり、色彩感覚もシニャックやドニに通じるものがありました。

光と色彩:モーリス・ドニ

ブルターニュの風景は、リュシアン・シモンも感銘を受けたものであり、画家たちの色彩感覚を目覚めさせたと言えるでしょう。

モーリス・ドニは、ナビ派の神秘的な要素を取り入れながら、淡い色彩で非日常的な楽園の世界を描いています。また、ポール・シニャックの点描画《グロワ》も、とても明るい風景を描いています。それらの風景は、画家たちの創作の着想源となったことは間違いありません。

信仰と死生観:シャルル・コッテ

描いたものは目に映るものだけではありません。見えない信仰もあったかと思います。
前述のポール・セリュジエは、ケルトの樹木信仰や再生儀礼をモチーフにした作品を残しています。これは大戦後の復興を願って描いたのでしょうか。

また、シャルル・コッテは、より日常の中にある信仰と死生観を描いています。海難事故の絶えないサン島の事故や、日々の信仰を描いた《行列》《夕べのミサ》は、日々が神々しく神聖であることを描いているようです。

日本の画家も憧れた地、ブルターニュ

日本の画家もこのブルターニュに訪れ、刺激を受けたことが伺える作品が展示されています。

黒田清輝
《ブレハの少女》

黒田清輝の《ブレハの少女》は、激しい筆使いと大人びた少女の表情とのコントラストが描かれています。一方、久米桂一郎や金山平三はブルターニュの林檎を描いており、久米は林檎の木そのものの生命感を、金山は緑色の果実を象徴的に描いています。これらの作品から、日本にはないものに刺激を受けていたことが感じられます。

また、藤田嗣治の作品《十字架の見える風景》では、乳白色が印象的です。更に、シールが沢山貼られたトランクも印象的でした。

最後に

「ブルターニュ」について、様々な視点から絵画を鑑賞することができました。特に、ポール・ゴーガンやリュシアン・シモンの作品は、人や土地、物語を色彩や構図によって効果的に描かれており、素晴らしかったです。写真で見るのとは違う生の原画をぜひ鑑賞してください。

展覧会情報

展覧会名
憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷

開催期間
2023年3月18日(土)〜 6月11日(日)

休館日
月曜日
※3月27日(月)と5月1日(月)を除く

開館時間
9:30~17:30(毎週金•土曜日は20:00まで)
※5月1日(月)、2日(火)、3日(水・祝)、4日(木・祝)は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで

会場
国立西洋美術館

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