ゴッホと静物画―伝統から革新へ

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早朝から多くの人々が足を運ぶ、SOMPO美術館の「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展覧会へ。
美術館内のゴッホの手紙、壁に語りかけるかのような感覚が鳴り響く。花への情熱、その表現の仕方には画家たちの個性が光り、鑑賞者を感動の渦に巻き込みました。

SOMPO美術館
「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」
目次

「輝きの背後にある情熱」― 《アイリス》《ひまわり》の魅力

ゴッホの静物画はまさに彼の個性が溢れる表現でした。「静物画を見なければ、ゴッホは語れない」とあり、その独自のスタイルが描かれる中、芸術家の魂に触れました。

フィンセント・ファン・ゴッホ
左:《アイリス》|右:《ひまわり》

アイリス

フィンセント・ファン・ゴッホ
《アイリス》

アイリスの美しさが贅沢に広がる作品も心に残りました。宗教的な側面よりも、色の対比と美の表現に焦点を当てたゴッホのアプローチに感銘を受けました。花の優雅さと色彩の調和が見事に表現されています。

ひまわり

フィンセント・ファン・ゴッホ
《ひまわり》

ゴッホがアルルで描いたその情熱的な色彩は、まるで花々が生き生きと躍動しているかのようでした。特に「黄色い背景のひまわり」には、ゴッホの感性が色濃く表れており、その微妙な変化に感嘆の息が漏れました。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《結実期のひまわり》

珍しい作品で《ひまわり》に感銘を受け自身の作品に描き込んだ画家もいました。

イサーク・イスラエルス
《「ひまわり」の横で本を読む女性》

ヴァニタス、名画家たちとの邂逅。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《髑髏》

時のはかなさを描く歴史。名画家たちとの対話を通して、ゴッホがどのように成長し進化していったのかが浮かび上がります。人生のはかなさや死を連想させる事物を描き、人々を戒めるための作品も描かれました。その時代の美の伝承が感じられました。

花と画家たちの葛藤

フィンセント・ファン・ゴッホ
《野牡丹とばらのある風景》

花を描く画家たちの中で、ゴッホがどのように異彩を放ったかが紹介されました。花の静物画におけるゴッホの色彩の実験には驚きと感動が入り混じりました。その結果、花々の美しさがより際立って見えました。

花を描く画家たちの情熱と葛藤が交錯する館内、「花というモチーフが画家の色彩感覚を爆発させるのだろうか。その感覚を抑圧して描くか、シャガールのように爆発させるか、画家によってスタンスは変わるのか。」そんなことを考えながら鑑賞の足を進めました。

「新たな時代の予感」― 芸術の変革と革新の息吹

個人的には最終章が今回の展覧会を象徴していると感じました。

新しい時代の予感が漂う印象主義の先へ「絵画における事物の再現」から離れ、色や形に注目し、自己表現を追求する様子が描かれています。

ゴッホをはじめとする画家たちが印象主義を超え、新しい表現スタイルを模索していく様子に胸が躍りました。ゴッホが描く《靴》が好きで本展でも鑑賞でき嬉しかったです。また《ヴィーナスのトルソ》のような一見ゴッホの作品とは思えないものが展示されていました。描いた時期を見ても初期のものではないため、色彩の探求と同時に対象を描く腕を磨いていたことが確認できました。

展示されていた《皿とタマネギのある静物》には、タマネギのくたびれた感じが新鮮で心に残ります。

この頃からゴッホは「明色に明色をのせる」背景と対象の両方を明色で構成する色彩実験を行います。一見差別化を無くすような色彩設計ですが、筆やテクスチャ、タッチによって絵画にリズムを生み出した革新的な技法を編み出しました。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《皿とタマネギのある静物》

エミール・シュフネッケルの《鉢と果物のある静物》は、オレンジ色の構成が美しかった。

エミール・シュフネッケル
《鉢と果物のある静物》

セザンヌやゴーギャンの実験性のある作品も驚くほどの深みがありました。

「印象主義を美術館で飾られている作品のように、堅牢なものにしたい」
「りんごでパリ中を驚かしたい」

ポール・セザンヌ

展示作品にあったシャガールの作品は、この旅を素晴らしく締めくくる瞬間でした。

展覧会情報

SOMPO美術館
「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」

展覧会名
ゴッホと静物画―伝統から革新へ
Van Gogh and Still Life: From Tradition to Innovation

開催期間
2023年10月17日(火)~2024年1月21日(日)

開館時間
10時~18時
(ただし11月17日(金)と12月8日(金)、1月18日(木)~21日(日)は20時まで)
※最終入場は閉館30分前まで

休館日
月曜日(ただし1月8日は開館)、年末年始(12月28日~1月3日)

会場
SOMPO美術館

Webサイト
https://gogh2023.exhn.jp/

Tomorebi

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