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装いの力―異性装の日本史
JR渋谷駅の改札を出ると大きな看板がありました。
今回は松濤美術館で開催されている話題の展示会です。
前回は「津田青楓」と堅めの内容だったのですが、本展は割と攻めた展示のようです。
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地下1階では古事記や能、歌舞伎などから異性装(女装・男装)を切り口にした文献や浮世絵が展示されていました。
女性が甲冑を着れば異性装になる(確かにジャンヌダルクもそうか)。能も能面をつけることで男性が女性を演じ、歌舞伎も着物と白粉で女性へ変わる。
展示の前半ではまさに「装い」の力を借りて異性になることを紹介していました。
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後半は何ともまた攻めた内容でした。
不意打ちに大野一雄のポスター、性別も年齢も超越した姿がありました。
異性化してジェンダーを曖昧化することで権威や権力を破壊していく、ドラァグクイーンが近代までに築いた文化を笑い・壊していく。近代の挑戦はとても興味深いです。
絵本の世界から触れてみると幼い女の子は自分が男の子だと思うなど性の自覚が曖昧であることから男女で対象を分けるような作品は少ないそう。
大人になってからも音楽、演劇の中でもしばしば女性が僕と歌ったり、男性が女性の視点で歌うなどジェンダーを曖昧にした表現が多くあります。どこか異性になることで別人格を生み出しています。
異なる性になること・異なる性であることの両方を考えさせられました。ジェンダーを越えることは人間を超越する感覚なのかもしれません。
展覧会情報
展覧会名
装いの力―異性装の日本史
開催期間
2022年9月3日(土)~2022年10月30日(日)
開館時間
10:00〜18:00
休館日
月曜日(ただし、9月19日、10月10日は除く)、9月20日、10月11日
会場
渋谷区立松濤美術館