第1回印象派展から150周年を迎える2024年、東京都美術館で開催されている「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」の展覧会に足を運びました。この展覧会は、印象派がヨーロッパからアメリカへ広がった影響を追い、ウスター美術館の貴重なコレクションを通じてその歴史をたどります。
印象派展 2024 ー 展覧会の見どころ
1. モネ、ルノワール、カサット名だたる画家たちの作品が集結
ウスター美術館のコレクションを中心に、フランス印象派やアメリカ印象派を代表する画家たちの油彩画が約70点展示されています。クールベ、コロー、ピサロ、そしてサージェントなど、40人以上の画家の作品が一堂に会し、その多彩な表現力に圧倒されました。
2. 海を越えて花開いた “アメリカ印象派”
フランスで生まれた印象派がアメリカに広がり、独自の展開を見せた様子が本展で見事に描かれています。ニューイングランドの田園風景や西部の自然の驚異など、アメリカらしい主題にどのように応用されたのか、その魅力に触れることができました。
3. 日本初公開!ウスター美術館コレクション
特に興味深いのは、ウスター美術館が世界で初めて購入したモネの《睡蓮》を含む印象派コレクション。これまでに日本で紹介されることの少なかった作品が、この展覧会で初めて日本の観客の前に姿を現しています。
鑑賞した印象派コレクション
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー
《ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所――池畔の釣り人》
木の風景に小さく赤の差し色があり、画家の色彩の探究が伺えました。
穏やかで詩的な雰囲気が生まれ出ていました。
クロード・モネ
《税関吏の小屋・荒れた海》
高いところから見下ろすように描かれた作品。
荒れた海がどこか優しい色調に見え、その不思議な魅力に引き込まれました。
カミーユ・ピサロ
《ルーアンのラクロワ島》
近代化する街と大気の効果を色彩で見事に表現していました。
ピサロのこの空気感が心地よく、印象的でした。
チャイルド・ハッサム
《花摘み、フランス式庭園にて》
本展のメインビジュアルとなった作品。
漏れ日の表現や明るい色調、瑞々しい草花を表わす大胆な筆触が素晴らしく、心に残ります。
メアリー・カサット
《裸の赤ん坊を抱くレーヌ・ルフェーヴル(母と子)》
洋服と肌の質感を巧みに描き分けていました。
肌の色がとても綺麗で、母子の愛情が感じられます。
アンデシュ・レオナード・ソーン
《オパール》
木漏れ日の描写、陽光を浴びてきらめく緑。
自然界の緑と肌の赤の色調が鮮やかな対比になって美しい作品でした。
ジョン・シンガー・サージェント
《キャサリン・チェイス・プラット》
暗い背景の上にアジサイが効果的に現れ画家の巧みで素早い筆触がよく見える作品。
未完成ながら白のドレスが美しく気品がありました。
黒田清輝
《落葉》
印象派の影響はありつつも、どこか日本を感じる作品。
自然と調和する美しさが印象的でした。
ウィラード・リロイ・メトカーフ
《プレリュード》
アメリカらしさを感じる、田園風景の春を表現していました。
穏やかな風景が心を癒してくれました。
ジョゼフ・H・グリーンウッド
《リンゴ園》
穏やかな風景。明るい色調に、柔らかな光の揺らめきを感じさせる。
牧歌的な春の美しさが表現されていました。
エドマンド・チャールズ・ターベル
《ヴェネツィアン・ブラインド》
大胆な構図と細かい描写、窓から漏れる光と花の表現、そして透き通る肌が美しい。
独特な雰囲気が印象深かったです。
ポール・セザンヌ
《「カード遊びをする人々」のための習作》
セザンヌの構図を探究する姿勢が窺える習作。
遠くからパッと見ただけでセザンヌと分かる作品は流石だなと思いました。
ジョルジュ・ブラック
《オリーヴの木々》
ジョルジュ・ブラックのキュビズムではなく「フォーヴィスム(野獣派)」の作品。
珍しいタッチを鑑賞できました。色彩の鮮やかさが目を引きました。
ロヴィス・コリント
《鏡の前》
荒々しく大胆な筆使いだが内面を描写した表現主義的な作品。
他の鑑賞者も足を止めるインパクトのある作品でした。
ブルース・クレイン
《11月の風景》
霧の中の風景を抑制した色彩で表現した作品。
アースカラーが魅了でアメリカらしい田園風景を捉えた一枚に。
本展でも印象派受け継いだ作品の中で隠れた名作では?と思いました。
フランク・ウェストン・ベンソン
《ナタリー》
写実と印象派の両方を取り入れた光の表現、女性の独立心を表現した作品。
美しい光の描写が心に残りました。
印象派の奥深さとその創造性
展覧会を通じてこれほど多様な感動を得られることは滅多にありません。美術の力は、作品が持つ色彩や筆致だけでなく、鑑賞者の心に刻まれる深い印象にも宿っています。それぞれの作品が時代や文化を超え、独自の物語を語りかけてくるようでした。美術館の壁にかかる一枚の絵画が、新たな視点や感情をもたらし、日常の中に深く入っていきます。
この展覧会を通じて、印象派の奥深さとその創造性に触れ、芸術の無限の可能性を感じました。ぜひ皆さんも足を運んで、印象派の奥深さを体感してみてください。
展覧会情報
展覧会名
印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵
Frontiers of Impressionism: Paintings from the Worcester Art Museum
開催期間
2024年1月27日(土)~ 4月7日(日)
開館時間
9:30〜17:30
金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休館日
月曜日、2月13日(火)
※ただし2月12日(月・休)、3月11日(月)、3月25日(月)は開室
会場
東京都美術館
Webサイト
https://worcester2024.jp/
ご来場者プレゼントキャンペーン
第1弾 オリジナルクリアファイル配布
https://worcester2024.jp/special/
1月30日(火)~2月6日(火)までの平日開室日にご来場いただいた方、各日先着100名様にオリジナルクリアファイルをプレゼントします。取っ手付きで持ち運びでき、切り取るとクリアファイルになるデザインです。チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園》の絵柄でご用意しました!
これが目的だったのでしょうか?朝早くから沢山の行列ができていました。
普段通らない東京都美術館の横を見られて楽しかったです、それにしても寒かった(笑)
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「光が当たる場所とそこに映る影を描く」ことをテーマに日々の暮らしに寄り添う作品を描いています。
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