先日、下北沢の本多劇場で行われた「志の輔らくご 真夏の大忠臣蔵」の千秋楽を観に行ってきました。この特別な日を振り返りながら、心に残った出来事や感動を皆さんと共有したいと思います。
志の輔らくごの世界
旭を背に羽ばたく“松喰い鶴”に春夏秋冬の吉祥を散りばめました。
春は“めでたい”桜鯛、
夏は“穢れのない”翡翠と蓮華、
秋は“無病(六瓢)”を願う瓢箪、
冬は“飛躍・繁栄”の象徴である兎。
みなさまの新たな門出を礼賛し、繁栄を願う意匠です。(図案:西川圭)
会場に足を踏み入れた瞬間、独特のワクワク感が広がりました。毎年楽しみにしている「志の輔らくご」限定の手拭いが今年も販売されており、なんと今回は志の輔さんのサイン入り!これには思わず笑顔がこぼれました。
舞台には舞台美術家の堀尾幸男さんが手掛けた「志の輔らくご」の大きな文字が堂々と垂れ下がり、仲入りでは歌川国芳の『荷宝蔵壁のむだ書』の転写に、堀尾さんと志の輔さんの名前が加えられた垂幕が現れました。忠臣蔵にちなんだ演出は見事で、まるで歌舞伎の世界に引き込まれるようでした。
千秋楽ということで、志の輔さんが登場すると「これまでの公演は今日のためのリハーサル・・」というお決まりのジョークで観客の心をつかみました。会場は笑いと拍手で一気に温まりました。
真夏の大忠臣蔵
志の輔さんの落語は、その呼吸、息づかい、緩急の付け方が絶妙で、観客を一瞬で物語の世界に引き込みます。前半の演目「忠臣ぐらっ」は、志の輔さんのオリジナル作品。シリアスになりがちな忠臣蔵の物語を、ユーモアたっぷりに展開する様子には感動しました。登場人物たちの愛くるしい一面が垣間見え、会場全体が笑いの渦に包まれました。
後半の演目「中村仲蔵」は、歌舞伎役者 中村仲蔵のサクセスストーリー。忠臣蔵がキーとなるこの物語も、志の輔さんの巧みな話術でより一層魅力的に描かれました。今年は私にとって「中村仲蔵の年」でもあり、藤原竜也さんの演劇や中村勘九郎さんのドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」で何度も触れてきた物語を、落語で再び楽しめることができてとても嬉しかったです。市川団十郎との掛け合いは特に感動的で、人情味あふれるシーンに胸が熱くなりました。
観客の反応も素晴らしく、終始笑いが絶えませんでした。特に「中村仲蔵」と分かった瞬間には、客席から感嘆の声があがり、その後も一心に物語に集中している様子が伝わってきました。笑いどころと真剣な場面の切り替えに、観客全員が一体となって楽しんでいるのが感じられました。
志の輔らくご 真夏の大忠臣蔵 in 下北沢 演目(2024/7/31)
- 立川志の輔
- 忠臣ぐらっ
- 立川志の輔
- 中村仲蔵
志の輔らくご
今回の公演は、私にとって本当に特別なものでした。「志の輔らくご」ならではの独特の演出と、千秋楽ならではのエネルギッシュな公演。志の輔さんのパワーを強く感じました。3時間に及ぶ長丁場にも関わらず、観客を最後まで引き付けるその力はまさに圧巻でした。すでに来年の本多劇場の日程が抑えられているとのことで、今からとても楽しみです。
「志の輔らくご」は、毎年お正月に渋谷PARCOで開催される公演と同様に、初心者でも楽しめる工夫が随所にあります。多彩な演出や堀尾幸男さんの舞台芸術、そして何よりも立川志の輔さんの卓越した話芸。これらが一体となって、誰もが楽しめる素晴らしい体験を提供しています。落語界の最高峰にいる志の輔さんの落語を聴ける機会は、本当に貴重で、どなたにでもおすすめしたいと思います。
皆さんもぜひ、次回の「志の輔らくご」で特別なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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