これぞ日本人のDNAなのか?
そう思わされることが何度かある。
縁もゆかりもない田舎の田園風景を懐かしんだり、藺草(いぐさ)の香りする畳。
現代の私たちからは遠のいていくものばかりだ。
しかしなぜか我々は過去に経験してもいないそれらを簡単に親しんだりする。
あの香ばしい匂いがたまらないのだ。
出来上がり後のあの香りが。
どっぷりとしたやかん、これじゃないと“頼りない”。
「そう、麦茶をつくるとはそういうことだ。」
と、自分に言い聞かせる。
ふふ、どこかの監督になったようで気分が良い。
今の私は麦茶つくりの総監督なのだ。
この台所に広がる麦畑の中でやかんに麦茶パックを入れ火をつける。
やかんの湯気ならぬ蒸気が心の鼓動とリンクして静かにわくわくするのだ。
ぐつぐつと煮出す。
火を止める。
自分を焦らしながらまだやかんの蓋を開けない。
「今だ!」
そのタイミングで麦茶の香ばしい匂いが台所に広がる。
鼻いっぱいに香りを取り込む。
スゥーはぁー
もう一度
スゥーはぁー
どんな料理も出来立てが美味しいのだ。
湯呑みに手を伸ばし“出来立て”をそそぐ。
買ったばかりのイッタラの鍋敷にやかんを置く。
この淹れたての麦茶の一杯がたまらない。
カーテンから漏れる西日が麦畑を黄金に染めた。

あわせて読みたい:短編絵画シリーズ
ライフコーチング「渡り。」


自分の中にあるものを見つめ、
これからを実際の人生でどう生きていくかを探る対話。
「渡り。」では、悩みや違和感だけでなく、
まだ言葉になっていない願いや、これから生きてみたい可能性も扱います。
問いと対話を通して、感情や身体感覚も手がかりにしながら、
その人自身の感覚と思考を大切に、これからを一緒に探っていきます。
答えや行動を急ぐのではなく、
内側で見えてきたものを、仕事や人間関係、創作、暮らしなど、
実際の人生でどう生きていくかまで見ていくライフコーチングです。
ご希望の方は、公式LINEを追加して、「コーチング希望」とメッセージをお送りください。
※体験セッションのみでもご参加いただけます。継続を強くおすすめすることはありません。








