ヨーロッパで注目を集める若手振付家、ノエ・スーリエ(Noé Soulier)の作品「The Waves」を鑑賞してきました。初めてのコンテンポラリーダンスのライブは、新たな感覚と気づきに満ちた体験でした。
The Waves:空間と感覚の調和
「The Waves」では、驚くべき演出が繰り広げられました。
身体の一部を使って空間に架空のオブジェを打つという指示に基づき、ダンサーたちは独自の動きを生み出しました。その日常的な動作の再解釈が行われ、観ているこちらの感覚が徐々に変容していくのを感じました。
『The Waves』では、私が“空間にある架空のオブジェを叩く”叩く“動作に本来は使わない身体の部分で叩く”などの指示を出し、ダンサーが動きをつくり、それを最初の“叩く”動作が見えなくなるまで変化させました。こうして複数のムーヴメントをつくり、それらをつないでいきました。指示は具体的ですが、現実には無い状況です。でも“叩く”という日常的な動作は、ダンサーの内部にその人独自の感覚や感情を生みます。動作は変形されるのでこの感覚や感情は表には出ず、ストーリーを語ることはありませんが、実際の行為がベースにあるので完全に抽象的でもない。一方で、これらのムーヴメントをつなげる方法には、ダンサーの個性が強く現れます。こうしてダンスはムーヴメント自体の美とダンサーの個性、形式と感情の両面を含む豊かさを獲得します。
(出典)https://rohmtheatrekyoto.jp/archives/interview_noesoulier
舞台上では、光と影、動と静の対比が繰り広げられ、目の前の「事象と感覚のズレ」によって現実と非現実の境界が曖昧になりました。
ダンサーの動きとベルギーの現代音楽集団「アンサンブル・イクトゥス」による生演奏が一体となり、視覚と聴覚が融合した没入感あふれる体験をもたらしました。
彩の国さいたま芸術劇場:舞台の魅力
彩の国さいたま芸術劇場は、リニューアル後の「The Waves」初演の舞台として選ばれました。
劇場内はモダンでクラシックな雰囲気に包まれ、重厚な赤のベルベットの幕が舞台を彩りました。
この劇場には、蜷川幸雄氏の足跡が深く刻まれています。
2006年に芸術監督に就任し、シェイクスピアの全37作を上演する「彩の国シェイクスピア・シリーズ」を主導しました。劇場周辺には、このシリーズに出演した俳優たちの手形レリーフが並び、その歴史を物語っています。
結びに
振付家ノエ・スーリエの「The Waves」は、挑戦的でありながらも魅力的な舞台芸術でした。彩の国さいたま芸術劇場の舞台でその魅力を堪能できました。
「The Waves」を観劇することで、身体表現の新たな可能性に触れ、舞台芸術の魅力に深く浸ることができました。今後も舞台鑑賞を通じて、さまざまな感覚を刺激していきたいと思います。
Tomorebi
Tomorebiは、Tomo + Komorebi(木漏れ日)から生まれた言葉です。
「光が当たる場所とそこに映る影を描く」ことをテーマに日々の暮らしに寄り添う作品を描いています。
暮らしの中にあるさまざまな景色や抽象的な表現を通じて、新しい景色や感覚を得られたら幸いです。
Gallery Tomorebi
誰かの生活や営みを豊かにしたいという思いから、「Gallery Tomorebi」を始めました。
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